日本教育デザイン学会 ーJEDIー

アクティブ・ラーニング-2- 本質?


「アクティブ・ラーニング-1- 狂騒?」 というタイトルで投稿してから約5ヶ月が過ぎてしまいました。その間、相変わらず「アクティブ・ラーニング」という単語を冠した書籍が次々と出版されています。そして、危惧していたように、「アクティブ・ラーニング」の明確な定義がないままに、「型」「手法」としてのアクティブ・ラーニングを先駆的に実践することに脚光が浴び、「型」や「手法」としてのアクティブ・ラーニングを実施することが、次期学習指導要領の目的やねらいが達成できるかのような雰囲気が学校現場に広まりつつあるように思います。

多くの書籍では、なぜこれからの教育において「アクティブ・ラーニングが必要なのか」ということについて、情報化社会の進展がますます進むことや、グローバル化の進展が理由や背景として述べられることが多いようです。そして、我が国で急速に進んでいる「人口減」(少子高齢化)も、アクティブ・ラーニングが必要な理由とされています。

しかし、その実態や迫り来る危機的な状況について、私たちははっきりと認識しているのでしょうか。

◆人口減に対する甘い認識!

左図は、国土交通省が「1192年の鎌倉幕府の成立⇒現在から約100年後の2100年」までの、およそ1000年間の日本の人口推移(予測を含めて)を示したグラフです。

このグラフを見ると、鎌倉時代から徐々に人口が増え始め、江戸の中期に人口増があり、享保の改革以後は江戸末期まで人口は横ばいの状態が続いていました。
明治までは、人口が増えたとはいってもそのスピードは緩やかであったといえます。

そして明治維新以後、我が国の人口は停滞から急増へと様相を一変させます。第一の転換点は明治という時代の始まりです。農業社会であった江戸時代が終わり、明治以降、我が国の近代化・工業化は急速に進み、社会はこれまでにないほど物質的に豊かになりました。その社会の豊かさは、明治維新以降の日本の人口が爆発的に増加したことと関係しています。豊かさが人口増を生み、生産年齢人口の急速な増加とそれに伴う旺盛な消費とが相まって社会は奇跡ともいえる発展を成し遂げました。

しかし、2000年を過ぎるころから日本の人口(特に生産年齢人口)は減少に転じます。国土交通省の推計によれば、2100年までの約100年間の日本の人口は、これまでとは真逆で想像を超える速さで減少し続け、2100年には日本の人口は明治の時代のレベルにまで減少すると予測しています。

これからの日本の未来にとって、このような急速な人口減少は重大な問題ですが、多くの国民にこのような状況が正確に認識されているとはいえません。
特に、人口減の実態を多くの先生方が実感し、今後大きな変化に直面していると認識していないことは、危機への対応という面からすると極めて深刻な状況と言えます。上記のグラフを先生方を対象とした研修会で示すと、多くの驚きと共に、「そんなに急速に減少するとは思ってもいなかった」という感想がほとんどです。多くの先生が、人口減少・少子高齢化という言葉は知っていても、その実態を危機感を持って認識しているとはとてもいえません。そして、このような人口推移の状況を全く認識することもなく、「これまでの教育」をこれからも続けようとしていることこそ、「教育の危機」であり「我が国の危機」といえます。

変化に対する確かな現状認識がないままに、「未来を生きる子供たち」の育成に携わっているとしたら、それこそが危機と言えるのです。