夢・希望を育む教育のデザイン (改 -JEDIー)

企業経営から学ぶ -経営とは?②-


「企業経営から学ぶ -経営とは?①-」では、教育の世界で重視されている経営という考え方やマインドでは、これからの時代を切りひらいていけないとの思いがありました。

子供たちの未来を担うべき教育が時代遅れにならないように、いま何をすべきなのかを改めて考えてみたいと思います。

前回は、OBT人財マガジンが「株式会社JR東日本テクノハート」の専務取締役:矢部輝夫さんへインタビューされた記事を参考に、教育の世界で活用できるよう作成した図を紹介しました。
(詳細は下記アドレスを参照)
(http://www.obt-a.net/web_jinzai_magazine/person/2013/03/jrtessei.html)

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この図の意図や意味については前項に譲るとして、TESSEIの専務取締役の矢部さんの言葉には、私たち教育関係者が学ばなければならない多くの「宝物」が潜んでいるように思います。

矢部さんの思いを、記事で次のように紹介しています。

[経営改革は、実行する「現場の実態」を把握して、初めて実現する]
活気が失われた現場を、海外視察団も絶賛する”最強の現場”へと改革したJR東日本テクノハートTESSEI。
「本社の言うことをよく聞いて、しっかりやるように」という上位下達の企業文化を一掃した同社の改革は、矢部氏(同社専務取締役)が「現場を知ること」から始まっている。「JR東日本から来たときは1カ月間の実習を受けて、現場のおばちゃんたちと同じ釜の飯も食べました」と語る同氏。その経験を通じて、現場がどれだけ大変か、一生懸命に取り組んでいるかを知り、「このまま埋もれさせるわけにはいかない」と感じたことが起点である。
現場の実態(感情や気持ち)を知らない中で、「職場活性を」「自律的に仕事を」と言ったところで誰も動かなかったであろうし、「何もわかっていない」という反発が出たであろう。
経営施策の浸透・実効が上がらない場合、それを作った経営・本社部門は「現場は危機感が無い」等という見なし方をすることが多いが、本当にそうだろうか。経営施策を浸透させ、改革を実現させるためには、まず、それを動かしていく「現場の実態」を知ることが極めて重要である事をJR東日本テクノハートTESSEIの事例は示唆している。

そして、インタビュアーであるOBTでは、インタビューの視点を次のように述べています。

【機能分担子会社から親会社の競争力を担う企業へと】
大手企業における多くの機能分担子会社の経営を見ていると、企業としての方向性や自由裁量の余地の少なさ、経営上の制約条件があまりにも多いと気づく。その為、経営というよりも単なる分担された機能を回すためのオペーレーションや業務の管理をやっているケースが見受けられる。
そうなるとそこで働いている社員の人達は受動的で自ら考えてアイデアを出すとか創意工夫をするとかといったことは殆どなく、決められたことをその範囲内でやるという考え方が圧倒的に多くなる。
しかし、経営リーダーの経営に対する考え方、業務の捉え方次第で同様な性格を持った機能分担子会社でも大きく変革しうるということである。自分達の業務を”単なる清掃”と捉えるのか”されど清掃”と捉えるのか、まさにリーダーの捉え方次第であろう。経営の制約条件は、まさにリーダーの志と考え方そのものにあることを株式会社JR東日本テクノハートTESEEIのケースは示唆している。

教育が変わろうとしています。
これまで、総合教育会議や新教育長の役割について論じてきましたが、これらの法改正による新たな職や組織が本来の使命を果たすためには、教育現場がどのような状況であるのかを知り理解し、実感することが不可欠であることを、上記の記事を参考にしながら改めて指摘しておきたいと思います。

現状を理解しないままで、次々と教育施策の履行を求めても、形は整っていても実を得ることができていないという状況を生み出すことだけは避けなければなりません。
企業経営者の、渾身の言葉に教育関係者が真摯に学ぶことができるかに、教育の未来はかかっているのではないでしょうか。