日本教育デザイン学会 ーJEDIー

新学習指導要領を読み解く(4)


◯答申の「はじめに」の後半部分を読み込むことにしましょう。

キーワードを抜き出してみると、
 ・学習指導要領が果たす役割
   ・公の性質を有する学校における教育水準の全国的な確保
   各学校が
     ・その特色を生かしながら創意工夫を重ね
     ・子供や地域の現状や課題を捉え
     ・教育活動の更なる充実を図っていくことができるよう
     ・地域や家庭と協力しながら
    学習指導要領等を踏まえ教育改善を図っていくことも重要

◯答申では、学習指導要領の果たす役割について二つ述べています。一つ目は、「学習指導要領によって教育水準を全国的に確保する」こと。このことは従前からいわれていることですが、このことに加えて、「各学校が、学習指導要領等を踏まえて教育改善を図っていく」ことを二つ目に役割として明記したことに注目しましょう。

◯でも、どうやって「学習指導要領」等を踏まえて教育改善を図っていったらいいのでしょうか?。そのヒントは、次の段落で述べられている「学びの地図」にありそうです。もう少し読み込んでいきましょう。

キーワードを抜き出してみると、
 これからの学習指導要領等には、
  
子供たちと教職員に向けて教育内容を定めるという役割のみならず、
  
・様々な立場から子供や学校に関わる全ての大人が幅広く共有し活用する
  
生涯にわたる学習とのつながりを見通しながら、
  
子供たちの多様で質の高い学びを引き出すことができるよう、
  
・子供たちが身に付ける資質・能力や学ぶ内容など、
  ・学校教育における学習の全体像を分かりやすく見渡せる
  「学びの地図」としての役割を果たしていくことが期待されている。
と書かれています。

◯答申では、「これからの学習指導要領等」の役割を明確に定めています。私たちは、今回の改訂により、学習指導要領が「教育内容を定めるという役割」だけではなく、「学校教育における学習の全体像をわかりやすく見渡せる『学びの地図』としての役割」を新たに持つことを期待していることに注目する必要があります。

◯別な言い方をすれば、子供たちはもちろん、教師を含む学校に関わるすべての大人が、「子供たちの未来(生涯にわたる学習とのつながり)を見通しながら、子供たちの多様で質の高い学びを引き出す」ために学習指導要領を共有して欲しいと言う願いを読み取ることができます。

◯例えば、各学校が編成した「社会に開かれた教育課程=各学校の学びの地図」を広げ、子供たちが先生のアドバイスや支援を受けながら、自らが学びを進めていく姿(主体的・対話的で深い学びを実践している姿)を想定してみてはどうでしょうか。「今、私たちの学びの旅はここまで来た」「この先は◇◇の課題に遭遇しそうだ」「その課題を乗り越えるためには◯◯の準備が必要だ」など、学びを見通し、自分の力を確認しながら、自らの資質・能力を高めていくなどの活動を教育課程の中に組み込むことができたら、どんなに楽しい学校になることでしょう。本来、「学ぶ」という活動は「楽しい」ものなのですから。

◯答申の「はじめに」の前半では、2030年の社会での子供たちの姿を赤枠で示したように描いています。

◯その部分を下図のように図解してみました「学びの地図」で、私たちはどのような子供を育てたいのかを明確にし、その道筋を「社会に開かれた教育課程」として編成し、教育改善に取り組ことが求められているのです。

下図は、答申の「はじめに」の後半を図解したものです。各学校が、育成を目指す子供像を具体的に描き、目指す子供像と育成したい力を明確に示し、その実現に向け「学びに地図」を創っていくことが期待されています。