夢・希望を育む教育のデザイン (改 -JEDIー)

第63回 イノベーティブ・セミナーではお世話になりました!

本年度最後のイノベーティブ・セミナーを、1月12日(木)に開催しました。当日は、30名弱の先生方がご参会くださり、「学習科学」「知識構成型ジグソー法・協調学習」などに関する理論的な背景に関する講義の後、実際に知識構成型ジグソー法の体験学習を行うなど、120分にも及ぶ熱気に満ちたセミナーとなりました。

今回のセミナーでは、「一人ひとりの学ぶ力を引き出す授業のデザイン」と題して、東京大学CoREF(大学発教育支援コンソーシアム推進機構)の飯窪真也先生をお招きし、子どもたちが「主体的・協働的な学び」を進めるために、これからの授業をどのように変えていったらよいのかをお話しいただきました。

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セミナーの冒頭、「アクティブ・ラーニングで目指すもの」とは何かというお話がありました。書店の教育関係の書棚に行くと、「アクティブ・ラーニンに関する書籍が急激に増えており、定義もさまざまであることから、本セミナーでは「主体的に学び、他者との協働を通じて、自分なりの答えを作り、試し、作り変えていく力を育てる」ことが、アクティブ・ラーニングの目指すものであることを確認し、セミナーはスタートしました。

また、「アクティブ・ラーニングでの教師の役割」については、
 ◆人は元来、自分で考えて学ぶことが得意
 ◆状況さえ整えば、学ぶ力を発揮できる
という子供観(人間観)に立った上で、
 〇子どもが潜在的に持つスキルを発見する
  「必然性がある」学習環境をデザインすること
 〇主体的、協働的に学ぶことを通じて、一人ひ
  とりが理解を深める対話的な学びを引き出す
                                    こと
 〇こうした学びを繰り返すことで、「学び方を学ぶチャンスを設けてあげること
が重要であるとのお話も伺いました。

そして、これからの授業では、「他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過程が実現できるかどうか」が重要であるとのお話は、「知識獲得型(習得型)」のこれまでの授業を見直すための方向性を示していただいたように思いました。

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セミナーの後半では、三人一組のグループに分かれ、社会科の教材「豊臣秀吉はどのような社会をつくったのだろうか!」という学習課題に、「太閤検地」「身分統制令」「刀狩令」の三つの資料を基に、エキスパート学習、クロストーク学習の体験を行いました。

参加くださった先生方の感想をいくつか紹介します。

◆ジグソー法を体験できたことで、いま求められているアクティブ・ラーニングは、子どものコミュニケーシ
 ョンを促し、思考を耕すものであることを感じました。「話すことを通じて理解を深めていく-伝えあいと
 対話-」という言葉が印象的で、自校の授業に足りない点を顧みました。

◆自分一人で出した答えに自信の持てない子は、ジグソー法のようにグループで話し合ってみると、新
 たな視点に立って考えることができる。発見すること、今まで知らなかったことを知ったときの喜びか
 ら、「なんでだろう?」ともっと考えを深められることは、子供の心理からするとワクワクの学習法だと感
 じました。貴重なご講義ありがとうございました。

◆本日は、お話を聞くことができてよかったです。
  本屋にも、アクティブ・ラーニングについての本が何冊も出回り、コーナーが作られている中で、より
 わかりやすくまとめてお話を伺うことができ、ラッキーでした。教師も視点を変えて「学習をデザインす
 る」ことが大切だと思いました。
  実際に体験をさせていただき、イメージをつかむことができる話し合いながら答えを導き出す活動は
 「学ぶ楽しさがあるな~」と実感しました。ありがとうございました。

◆実際に活動をしながら学ぶことについて、改めて考えることができました。自分の言葉で考えることの
 難しさ、面白さに気づきました。
  「アクティブ・ラーニング」という言葉が独り歩きし、「話し合いさえすれば・・・」という声も聞くことがあ
 り、疑問に感じていました。今日は、それに対する答えを見つけられたような気がします。

◆「アクティブ・ラーニング」と言われても、「子どもの話し合い活動の入った授業」というような理解でしか
 しておりませんでしたので、いつもその話し合いの内容・質・方向性に疑問を持っておりました。
  今日のセミナーは、その疑問に明確な方向性を与えてくださいました。自分のモヤモヤした部分に光
 を当てて、整理整頓していただけたように思いました。知識構成型ジグソー法、実践していけたらと思
 いました。

多くの先生方が、体験学習の前に抱いていた自分の考えと、協調学習を体験した後の自分の考えや思いの質や量の違いに驚くとともに、「知識構成型ジグソー法」の学びの価値とその意義を実感されていたようです。参加された先生方が、「主体的・創造的な学び」の意義と重要性を改めて認識し、「知識構成型ジグソー法」の先駆的な実践者としてご活躍されることを願っいつつ、改めてセミナーへのご参加に感謝申し上げます。

(追伸)
本年度の「イノベーティブ・セミナー」「スキルアップ・セミナー」は、今回のセミナーをもってすべての日程を終了しました。多くの先生方にご参加いただき、日本教育デザイン学会の活動が継続できたことに心より感謝申し上げます。
次年度のセミナー等について、ご希望やご意見がありましたら遠慮なくお知らせください。(事務局)