夢・希望を育む教育のデザイン (改 -JEDIー)

東日本大震災から何を学んだのか?

 平成23年3月11日。 東日本大震災が発生し、多くの人命、最先端の施設や設備が一瞬にして失われ、自然の猛威に驚嘆し、高度文明の脆弱さに希望を失いつつありました。
しかし、震災に遭われた方々が示された「日本らしさ」「日本人らしさ」に、海外から多くの賞賛が寄せられています。その基盤は、日本の文化であり、それを無意識のうちに引き継いできた日本の人々の心の中にある「思い」(文化)だったのではないでしょうか。
平成23年度を象徴する漢字として、「絆」が選ばれましたが、甚大な被害を前に、競争や効率を求めるのではなく、互いに手を携えながら共に生きていこうとの思いを抱いた人々が、「絆」をいう漢字を選ばせたのだと思います。

しかし、残念ながら、復旧・復興に多くの力を結集する必要があるにもかかわらず、復旧・復興の青写真は未だに示されていません。特に、多くの子ども達が被災し、避難し、十分な教育を受けることができない状況は一刻も早く解消しなければなりませんが、未来創造に向かう教育の青写真は示されていません。
はたして、この震災を克服しこれからの日本を発展させるために、「教育」は何ができるのでしょうか?
子どもが育つ環境が激変し、児童虐待件数は増加の一途です。多くの教育課題がいっこうに解決されない中で、 「これまでの教育」を、再検討しないまま今後も続けていていいのでしょうか。
東日本大震災は、競争原理や、成果主義の延長線上に教育を位置づけるのではなく、教育にも大きな変化を求めています。「これからの教育」をデザインする力が、教育に携わる者に強く求められているのです。
それは、これまでの教育施策を立案してきた者にではなく、子ども達と直接教育という営みに身を置いている現場の教師にこそ求められている力なのです。
震災当時、「想定外」という言葉が盛んに使われました。しかし、「義務教育」に想定外という言葉を使うことはできません。子ども達の未来をしっかりと想定し、確実に、地道に確かな教育を展開していくことが重要です。
これからの教育リーダーには、創発力(新たなものを考え出し実現していく力)や、デザイン力(物事を組み合わせ新たな仕組みや仕掛けをイメージしデザインする力)が求められています。