日本教育デザイン学会 ーJEDIー

枠を壊すことの大事さ


私たちは知らず知らずのうちに、「自分の判断基準」を創り上げ、無意識のうちにその判断基準に従いながら決断し、行動しています。

教育の世界を観ると、多くの問題が山積しています。そして、それを解決しようと多くの「教育改革」という名の解決策が打ち出され、教育現場は改革の嵐の中で大きく揺れ動いています。
しかし、次々と打ち出される教育改革が成功したとの実感はあまりないのではないでしょうか。

その原因は・・・・?

これまでの教育改革は、教育に関する問題が発生してから、それに対応していくという古いスタイルで進められ、「古い判断基準」(オールド・パラダイム)によって改革を進めようとしているのではないでしょうか。
しかし、それでは変化の激しい時代に適切に対応することができません。問題が起こるまえに、その危険性や解決の可能性を予見し、問題発生を未然に防ぐ「新しいスタイル(新しい判断基準)」(ニュー・パラダイム)を構築し、教育改革に取り組まない限り、今日の教育課題を解決することはできないように思います。

平成27年1月7日(水)の讀賣新聞に、ノーベル賞受賞者の利根川進先生が「個の尊重 枠壊す発見」というタイトルで記事を寄せています。その一部を紹介すると…

留学してから半世紀を海外で過ごした私には、日本が、より規則でコントロールされた社会に見える。決められた枠の中では、極めて精度の高いものを作る。伝統的に繊細な作業が得意で、工芸品や染め物は見事だ。戦後はすばらしい車を作るなど、産業を発展させた。だが、枠そのものを壊す発見や発明が少ない。
常識にとらわれない、個人の考えを尊重する風土が、枠を壊す革命的な発見を生む。日本と違い、米国では自分がどう思うかが重要で、他人が自分のことをどう思うかは二の次だ。個人の能力や好みを尊重した教育が重要だ。

この利根川先生の言葉を、教育関係者はどう受け止めるのでしょうか。教育の分野においても、枠を壊す革命的な変革が必要な時(時期)が迫っているのではないだろうかと思います。

次期学習指導要領の改訂に向け、中央教育審議会に諮問が出され、本年度中に答申が出るといわれています。その諮問文を読むと、「アクチブ・ラーニング」という言葉が随所に出ていることに気づくとともに、「新しい言葉に翻弄され、新しい教育を展開している」という思い込みで、「古い価値基準」での教育改革が展開されてしまうのではないかという危惧を抱いてしまいます。

未来を生きる子ども達のために教育を変えていかねばならないことは、多くの人々の一致するところですが、その内容や実施方法については「総論賛成各論反対」といった状況が続いていたのでは、改革は成功しません。捕らわれている「古いパラダイム」に築き、そこから脱却しなければなりません。

もはや、私たちに残された時間は、僅かしかないのですから。