日本教育デザイン学会 ーJEDIー

未来志向の教育デザイン-4-(はじめに④)


現在の学校に、「経営戦略」はありますか?

この問いに、「あります」と回答する管理職はどれくらいいるのでしょうか。そして、「ある」と回答した管理職が考えている経営戦略は、時代の変化に対応した経営戦略になっているのでしょうか。

大変革が求められている時代において、学校が時代の変化に対応した経営戦略や教育マネジメント・組織マネジメント能力を持つ必要があります。特に、管理職が経営手腕を発揮するためには、学校という組織を見直し、管理職層の意識改革を基盤として、すべての教職員が、経営・マネジメントという視点に立った新たな資質・能力を身につけなければなりません。

学校管理職に「学校経営」について質問すると、教育課程管理、学校施設管理、服務の監督など、「4管理2監督」ということばに代表されるようなこれまでの管理手法や管理内容を説明されることがほとんどです。

残念ながら、現状をどう維持していくかという視点でしか管理やマネジメントに対する意識がなく、変革の時代の経営・マネジメントという視点から未来の教育を見据えるのに必要な知識や技法については乏しいのが実情です。経営に関する知識や手法の蓄積もないまま、旧態依然とした管理・監督がマネジメントだと思っている管理職は少なくありません。

研修の機会がないわけではありませんが、それは「これまで」の経営を学ぶための機会であり、時代の変化に対応した新たな教育マネジメントの知識や手法を計画的・継続的に学ぶ機会はほとんどありません。

企業では、経営に関する年次計画だけでなく、中期経営計画、長期経営計画の策定に多くの労力を注ぎ、中長期経営計画が存在しない企業などありません。しかし、公立学校には中期計画も長期計画は存在していないのが現実です。

「校長が替われば学校が変わる」などのことばに代表されるように、管理職の交代によって学校経営方針は大きく変わり、これまでの教育資産を活用するというより、新校長の下で、新たに教育成果を積み上げていくという経営スタイルをとっているのが現在の学校経営の実情なのではないでしょうか。

そして、それは学校だけではなく教育界全体にもいえることです。多くの企業が蓄積してきた経営理念や経営手法、その基盤となる理論や手法を学ぶべき時がきています。
「明日の教育」「未来の教育」を創造するためにも、未来志向の組織マネジメントに関する知識や手法を学び、経営感覚を磨く必要があります。

営利を目的とする企業と、子ども達の教育を担う教育とでは目的が異なりますから、企業経営の知識や手法をそのまま教育や学校に当てはめることには無理があります。しかし、現在の教育が抱えているさまざまな教育課題を解決するためには、教育界にも新たな経営に関する知識と手法が必要なのです。

学校や学校関係者(特に管理職層と教職員)が、これまでの経営に対する意識を転換し、発想を変え、未来の教育の創造に向け発想豊かな教育実践を展開することができるようにならなければ、多くの教育課題を解決することはできません。

「未来の教育」を実現するためには、経営に関する新たな知識と手法を、学ばなければなりません。
このコラムの連載が、自校を基盤とした教育のビジョンを構想し、すべての子どものための教育を実践しようとしている人々、特に、自らの学校経営に関する理念や手法を確立しようとしている管理職や将来のリーダーとなるべきミドル層の人々にとって、実践のヒントになることを願っています。