日本教育デザイン学会 ーJEDIー

未来志向の教育デザイン-3-(はじめに③)


次々と打ち出される「教育改革」が、期待されるほどの成果を上げることができず、状況の改善は遅々として進まないどころか、状況はますます悪化しているのではないか?

そんな感覚を多くの人々が抱くことを避けるためには、・・・・?

教育課題が山積している現状を踏まえれば、人々が、学校の状況(教育施策や教育制度、学校や教職員の姿)や子ども達の置かれている状況に満足していないことは明白です。

それは、教育改革やそれを受けて次々と繰り出される教育施策が、未来をしっかりと展望し、明確なロードマップをもって示されているとはいえないと思われていることが原因です。
また、教育施策が、将来を見据えた構想と、熟慮を重ね十分に練られた戦略のもとに展開されているというよりも、悪化する教育状況への対応に追われ、喫緊の教育課題を改善するために、直面している困難な状況や課題を何とか凌いで解決するといった側面を強く印象づけてしまっていることや、教育施策のねらいと教育現場の実態とがかけ離れていると思われていることも原因の一つです。
そして、展望が見えず対処療法的な印象が教育改革への熱意を低下させ、教育に対する不信を増大させ、学校現場の疲労感を増幅させているという思いも、教育改革の推進を困難なものにしています。

経済が右肩上がりで成長を続け、「これまで」という意識で施策を強化し、効率的な運用をしていれば良かった時代はすでに終わっています。急速な人口減、想像を超える速さで進むグローバル化など、これからの時代を生きる子ども達は「新たな資質・能力」を身に付けることが必須ですが、そのための戦略は明確に描かれておらず、具体的な施策として示されてはいません。

企業経営における戦略の重要性に異を唱える人がいないのと同様に、教育がその目標を達成するために戦略をもち、それを具体的な戦術へとブレークダウンさせ、実態に応じた教育マネジメントを展開しなければ、今日の教育が抱えている教育課題を解決することはできないということに、我々は改めて気づき、戦略的な取組をしなければなりません。

教育改革を成功させるためには、戦略や戦術の内容や、経営マネジメントの在り方や内容を転換させ、権威主義を背景とした上意下達的な姿勢で目的を達成することはもはや不可能だということに気づかなければなりません。教育現場が置かれている厳しい現実・現状の打破は、トップダウンだけでは為し得ることはできないのです。

教育改革の成否は、私たち教育現場で頑張っている教職員一人ひとりにかかっています。

教育最前線で健闘している学校現場の管理職や教職員一人ひとりの英知が結集され、トップダウンで示される教育改革の目的を盲目的・従属的に理解するのではなく、その意味するところを真に理解する能力が教育現場には求められています。
そして、改革の目的を真に理解し、教育の最前線で奮闘している学校関係者が巻き起こすボトムアップ的な改革が連続的に巻き起こり、両者が融合した時に、真の教育改革は達成できるのです。

これからは、戦略的な発想を学校組織が持てるように改革し、教育改革の意味や各学校や一人ひとりの教職員や保護者・地域の役割を活性化させなければなりません。

各学校は、教育に関する経営戦略を持ち、すべての子どもの未来づくりを標榜し、その実現を図るために、地域の特性に応じた特色ある学校づくりをこれまで以上に推進する必要があります。

別な言い方をすれば、教育行政的機関だけが戦略的・戦術的な思考と技法を保持して学校にその実現を迫るという上から下への一方的な施策展開ではなく、子ども達の教育に直接携わっている学校もまた戦略的思考を持って教育マネジメント・経営マネジメントを展開できる資質や能力が不可欠な時代が始まっているのです。

では、「学校」(管理職や教職員)は、どんな力を持つ必要があるのでしょうか・・・・?